2013年10月に中国の習近平国家主席がインドネシアで提唱した銀行。15年6月末に50カ国が設立協定に署名し、16年1月に設立された。当初の参加国は57カ国。本部は中国の北京に置かれ、初代総裁には、前中国財務部副部長の金立群が就任した。資本金は1000億ドルで、出資額上位は、中国が29.7%、インドが8.3%、ロシアが6.5%、ドイツが4.4%、韓国が3.8%の順。ヨーロッパ勢として参加を最初に表明したイギリスは、10位の3%である。出資額からわかるとおり、中国が主導的役割を果たし、その議決権比率は26.1%である。AIIBの目的は、アジアでのインフラ整備支援である。アジアではインフラ需要が大きく、アジア開発銀行や世界銀行だけでは資金供給が不足している。アジア開発銀行の予測によれば、インフラ需要は、10年から20年にアジア全体で約8兆円とされる。AIIBは、国際金融機関として、アジア開発銀行との協調融資も検討されている。AIIBは、もともとシルクロード経済圏をつくる一帯一路構想を実現するための金融機関を意図していたが、それは14年末に中国が独自の政策判断で投資先を決める400億ドル規模のファンド、シルクロード基金が担う可能性が出てきた。