タイの国家経済社会開発庁が所管する最上位に位置づけられる国土政策。第11次計画は、2012~16年を計画期間とし、「平等、公平、活気ある幸福な社会」を目標とする。計画は五つの柱からなり、第1に産業集積地におけるエコロジカルな都市の形成、第2に首都圏などにおけるクリエーティブな都市の形成、第3に工業区などの整備による国境地域の開発、第4に低所得層に配慮した経済区の再整備、第5に文化・社会的側面に配慮した環境にやさしい都市の形成である。また、国土政策では、公共事業・都市農村計画局による「タイ国家空間開発計画2057」(Thailand National Spatial Development Plan 2057)という、2057年までの50カ年計画も知られている。タイが農業、農産工業、食品技術、医療サービス、観光の各分野において、世界を先導する国を目指す。開発方向は、第1に都市クラスターの開発、第2に低所得層の農村拠点の活力増大、自立性の確保である。対象地域は、バンコク圏、南部、東部、中部、北部、東北部の6地域に分けられる。バンコク圏では、空輸の拠点として国際都市の地位を保持し、首都また国家の中心としての役割を推進する。タイは、他の先進アセアン諸国に比べて農業従事者の比率が高く、とくに東北部で高い。この雇用構造の転換が経済・社会の発展には必要とされる。また、バンコク圏は、アジアのデトロイトとしての地位を確保し、アジアの航空ハブとしての地位を確保する必要もある。これらの目標を達成し、「中所得国の罠」からの脱出を図る。