デジタルファイル化した楽曲コンテンツを保存・再生するハンディ型オーディオ製品。1979年7月に登場してウオーキング・ステレオの音楽消費スタイルを創造したソニー「ウォークマン」は、アナログ録音のカセットテープ再生機からCD、MD、メモリースティックのデジタル再生機へと製品を進化させてきたが、アップルコンピュータ(現アップル)が2001年11月に1.8インチHDD(ハードディスクドライブ)を搭載した新タイプの商品「iPod(アイポッド)」を送り出し、03年4月に開始したオンライン音楽配信サービス「iTMS」(iTunes Music Store アイチューンズ・ミュージックストア)の革新と相まって、一気に市場が拡大した。iPodは05年10月に動画再生機能付き機種も登場し、iTMSは06年9月に映画やゲームも配信する「iTS」(iTunes Store アイチューンズ・ストア)に改名。08年9月までに全世界で1億6000万台以上に達する大ヒット商品になった。日本では04年11月にKDDIが携帯電話機向けに始めた1曲まるごとダウンロードできるサービス「着うたフル」(ソニー・ミュージックエンタテインメント)が08年5月に2億件を突破するなど、携帯電話機(世界需要年間10億台)の楽曲再生機能拡充による市場拡大も目覚ましく、05年に登場したウォークマン携帯の人気で、ソニー・エリクソンの音楽携帯電話は08年までに1億5000万台を超え、07年6月には携帯情報端末(PDA)にも使える多機能携帯電話スマートフォンとしてiPod機能付きの「iPhone(アイフォーン)」が発売(日本国内では08年7月に「iPhone3G」、10年6月には世界で「iPhone4」が発売)され、搭載する基本ソフト(OS)の覇権を含め市場競争に拍車がかかっている。