国連食糧農業機関(FAO)の定義によれば、「人々すべてが常時必要とする基本的食料に物理的経済的に確実にアクセスできること」。しかし、途上国先進国を問わず、次のような食料需給上の不安定要因があり、食料安全保障(食料の安定供給)の確保はたやすいことではない。(1)開発途上国で爆発的な人口増加が予想され、他方、世界的に食料消費水準の高度化による飼料穀物の需要増加など、穀物需要の拡大が見込まれる。(2)中国、インド等の人口超大国や東欧・旧ソ連等の国々における食料需給上の不安定が予想され、見通しも不透明。(3)地球環境問題から生じる生産制約、耕地拡大の困難等のため、これまでと同様の生産増加が極めて厳しいと予想されることや、バイオ燃料(→「バイオエタノール」)の需要の高まりにより穀物との競合(食料不足)が想定される。(4)国際的な穀物等の需給調整機関がないなかで、食料調達は基本的に各国に任され、食料を政治的戦略物資に位置づける国もある。こうした要因から、いまでも地域的に過剰と不足、飽食と飢餓が併存している。