農地取得により規模拡大した農家を対象にして、拡大面積に応じて交付金を上乗せする制度。戸別所得補償制度を拡充し、規模拡大に取り組む農家を支援することを目的とする。2011年度には拡大分の10アールにつき2万円が交付される。主な交付対象作物はコメのほか、小麦や大豆などの畑作物である。11年度の交付対象面積は5万ヘクタールと見込まれ、総額100億円が農業の戸別所得補償制度の予算の中で計上された。この制度の導入の背景には、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を視野に国内農業の競争力の強化が求められている社会情勢がある。規模拡大加算はそのための一施策であり、農家の大規模化を促し生産性向上に寄与する制度として期待されている。このため、規模拡大加算は当初の予定を前倒しして11年度から実施されることとなった。予算が少額なことに加え、加算額が規模拡大を誘導するに足る十分な水準なのか、また大規模農家の優遇は戸別所得補償制度の政策理念に矛盾し旧制度への逆行になるのではないか、といった意義と効果を疑問視する声もある。