高度回遊性魚種であるマグロ類の漁場は太平洋、大西洋、インド洋など世界の各水域に存在する。各水域ではマグロ漁業に関係する各国で地域漁業管理機関(全米熱帯マグロ類委員会(IATTC 1950年発効)、大西洋マグロ類保存国際委員会(ICCAT 69年発効)、インド洋マグロ類委員会(IOTC 96年発効)、ミナミマグロ保存委員会(CCSBT 94年発効)、中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC 2004年発効))が設立されており、マグロ類の資源管理が行われている。マグロ類の最大消費国である日本は全ての機関に属しており、しかも責任ある立場でもある。これらの機関では、毎年、漁獲量の報告のほか、科学委員会からの勧告を受けてマグロ類の保存措置の検討および魚種別総漁獲枠や国別割当などを決めている。目的は持続的な資源利用のための行動を計画するものであるが、各国の思惑が働くため必ずしも科学委員会の勧告が受け入れられるわけではない。しかしICCATやCCSBTにおいては、各魚種の管理方法を検討し、総漁獲枠を維持または削減する努力を図ってきた。そうした経過の中で大西洋クロマグロやミナミマグロの資源回復の兆しが見え、2013年に総漁獲枠が増やされることになった。しかし歴史が短いWCPFCでは、12年にようやく資源管理措置としてまき網漁業における浮き魚礁の使用制限やメバチの漁獲量の30%削減が決まったところである。