日本で食材となるウナギは天然物もあるが、大半が河口域で採捕されたウナギ稚魚(シラスウナギ)を種苗にして養殖されたものである。日本の市場への養殖ウナギの供給量は、1980年代に輸入によって拡大し、2000年にピークを迎えて、その後は減少する。主な輸入先は中国、台湾、韓国である。また日本の養殖業者は、東アジア諸国で採捕されたニホンウナギの稚魚も輸入している。昨今は養殖魚も稚魚も輸入シェアは落ち込んでいるが、それでも市場供給量の半分を超えている。中国から日本に入る養殖ウナギの中には、EUから輸入したヨーロッパウナギの稚魚を育てたものもあった。しかし稚魚の捕獲量が大きく減少したことから、中国の養殖ウナギの供給力が衰え、全体の供給量も落ち込んだ。さらにヨーロッパウナギは07年にワシントン条約付属書への掲載が決定し、09年には国際取引が規制された。こうした理由から輸入が落ち込んだところへ、12、13年はニホンウナギの稚魚生産量が東アジア全域で減少した。その結果、ウナギ需給は逼迫し、価格が異常に高騰した。14年6月、国際自然保護連合(IUCN)はニホンウナギを絶滅危惧IB類、東南アジアで棲息するビーカラ種を準絶滅危惧種としてレッドリストに掲載。一方で日本政府は、15年6月からウナギ養殖を農林水産大臣の許可を要する業種とし、中国、韓国、台湾と連携して稚魚の養殖池入れ数管理を徹底している。