漁業への環太平洋経済連携協定(TPP)対策として、第2次安倍晋三内閣が打ち出した水産政策の一つ。正式名称は、水産業競争力強化漁船導入緊急支援事業という。中核的漁業者に対して、収益向上につながる漁船を、漁業団体がリースする事業である。中核的漁業者とは、漁村または水産都市の関係事業者で構成する広域水産業再生委員会で作成された計画(広域プラン)の中で位置づけられた漁業者であり、次の条件をクリアしている者のことをいう。(1)個人経営体においては、原則として55歳未満の漁業者。ただし、45歳未満の後継者が確保されている場合は例外とする。(2)法人経営体においては原則として減価償却前利益が確保されている者。中核的漁業者は、リース事業主体の漁業団体から漁船をリースされ、広域プランに則って漁業を営む。リース事業団体は、リース船として中古船または新船を取得する際に、取得額の2分の1以内を国から助成される。ただし、助成上限額は2億5000万円となっており、主として中小型漁船を使用する沿岸漁業者が対象になる。2015年度の補正予算では70億円、16年度には142億5000万円が計上され、16年末までに計画承認を受けたリース漁船は301隻となっている。この背景には、漁船の価格高騰で取得が難しくなっており、漁船が老朽化しているという事情がある。この事業によって、金融機関としても貸付リスクが小さくなり、漁船の更新が進むと予想されている。