扉が開いたままエレベーターが動いたときに、昇降を自動的に止める補助ブレーキ装置。通常、エレベーターは、カゴ側のドアおよび各階の乗場側ドアがすべて閉じた状態でなければ動かない構造になっており、また、動力が切れたり走行中にドアが開いたりしたときには、ロープ巻き上げ機の電磁ブレーキが作動する仕組みになっている(→「エレベーター制御技術」)。しかし、2006年に東京都内のマンションで高校生がエレベーターに挟まれて死亡した事故は、電磁ブレーキの不具合により、扉が開いたままエレベーターが急上昇したことが原因であった。この事故をきっかけとして09年9月に改正建築基準法施行令が施行され、同日以降に着工する建物内のエレベーターについては、補助ブレーキの設置が義務付けられることとなった。補助ブレーキのタイプとしては、エレベーターのカゴをつるロープを挟んで急停止させるロープブレーキを取り付けたものや、電磁ブレーキを二重化したものなどが、国土交通省の認定を受けている。