推進工法は、鉄筋コンクリート管等の推進管の先端に掘進機を取り付け、地中を掘削しつつ、後方の油圧ジャッキで管を推し進めて埋設する工法である。日本の都市部では、下水道、水道、ガス、電力、通信等のライフラインの多くが地中に管渠(かんきょ)として埋設されている。埋設の方法は、地表から掘り下げて管を設置し埋め戻す開削工法と、地表から掘削せずに地中を掘削し管を設置する非掘削工法があり、推進工法は、シールド工法と同じ非掘削工法に属する。推進工法は、地盤状況や工事条件などにより使い分けられ、使用する推進管の大きさや推進方法などにより、大中(だいちゅう)口径管推進工法(呼び径800ミリ以上)、小口径管推進工法(呼び径700ミリ以下)、取付管推進工法、改築推進工法に分類される。大中口径管推進工法は、切羽の開放状態によって開放型と密閉型に分類され、さらに密閉型には、切羽の安定方法、土砂の搬出方法等によって泥水式推進工法、土圧式推進工法、泥濃式推進工法に分類される。小口径管推進工法は、推進管の種類により高耐荷力方式、低耐荷力方式、鋼製さや管方式に分類される。日本の推進工法の技術は世界でもトップレベルにあり、長距離および複合急曲線など様々な工事条件に対応できるように資器材等の改良、制御・計測の自動化の開発などが行われている。日本の工事業者は海外でも工事を行っており、最近の事例として、長距離推進工事として台湾・台北市の下水管設置工事(延長約3100メートル)、急曲線工事として台湾・高雄県の下水管設置工事(円弧半径R=20メートル、延長約360メートル)などがある。