不動産市場とは不動産の取引に関する市場全般をいうが、取引の対象が権利かサービスかによって、不動産売買市場、不動産賃貸市場に区分され、または取引対象の用途から住宅市場と商業不動産などの非住宅市場に区分される。不動産売買市場、不動産賃貸市場と金融市場は密接に結びついている。過剰流動性を背景にした1980年代後半の異常なバブルが崩壊して以降、十数年にわたって低迷した不動産市場は、不動産証券化が成立し、J-REIT(日本版不動産投資信託)が上場された2001年9月から、ファンド(J-REITおよび私募ファンド)を通じて資金が不動産市場に流入し、不動産市場が活性化した。特に05年ころから大都市の都心地域でファンドバブルが発生した。しかし、08年にサブプライムローンに端を発した未曾有(みぞう)の金融危機が発生し、J-REIT、私募ファンドなどを通じた不動産市場への資金の流入(需要)の激減によって不動産価格を下落させるとともに、経済の低迷、賃貸床需要の減少からオフィス市場で空室率の上昇と賃料の下落をもたらした。現在も回復しておらず、2012年に入っても住宅の着工戸数は低水準のままで、オフィ市場も空室率は高止まりし、賃料は緩やかな下落が続く可能性が強い。