「著作権法の一部を改正する法律」(2012年法律第43号。6月20日成立、同27日公布)による著作権法の改正。主な改正内容は、(1)いわゆる「写り込み」(付随対象著作物の利用)等にかかわる規定の整備、(2)国立国会図書館による図書館資料の自動公衆送信等に関する規定の整備、(3)公文書管理法等に基づく利用にかかわる規定の整備、(4)著作権等の技術的保護手段にかかわる規定の整備、(5)いわゆる「違法ダウンロード」刑事罰化にかかわる規定の整備、の五つである。(1)~(4)は内閣立法であり、(5)は議員立法である。(1)(2)は13年1月1日施行、(3)~(5)は12年10月1日施行である。(1)は、審議会段階では、日本版フェアユースとして議論されていたものである。種々の検討を経るうちに、「写り込み」(付随対象著作物の利用)等に関する規定として整備されることとなった。具体的には、付随対象著作物の利用、検討の過程における利用、技術の開発または実用化のための試験の用に供するための利用、情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用、の四つの規定の追加。(5)は、私的領域で行われるダウンロードに刑事罰を科すべきかの賛否をめぐり、一番話題を集めたものである。既に09年の著作権法改正により、違法にアップロードされた著作物等のデジタル録音・録画は、私的複製であっても違法とされていた。これを、今回の改正で、当該著作物が有償で提供・提示されている等の一定の限定を加えた上で、2年以下の懲役または200万円以下の罰金(併科あり)という刑事罰の対象とした。