企業間の技術的水準が同質化し、商品やサービスの差異化が困難になり、どのブランドを取り上げてみても顧客側からするとほとんど違いを見いだせない状況のこと。コモディティーとは「一般商品」といった意味であり、小麦や大豆などを指している。産地の別や等級の違いはあるが、重量あたりいくらで取引されるような商品である。企業によって生産される多くの商品やサービスが、小麦や大豆のように一般商品化しているというのである。今世紀に入って、コモディティー化への動きは消費財からサービスや生産財などの分野にまで広がっている。それだけに、今日のマーケティングにおける最大の課題は、コモディティー化をいかにして打破するかという点にある。強力なブランドの構築や経験価値の創造などは、コモディティー化した市場への挑戦といえる。コモディティー化と近い概念に成熟化がある。多くの市場は既に成熟化しているが、そうした成熟化市場ではコモディティー化も生じやすい。だが、成熟化が市場の成長性に焦点を当てているのに対して、コモディティー化では商品やサービスの差異化に焦点を当てており、両者は異なる概念として捉える必要がある。