いわゆる「懐旧の念」や「追憶の感情」のこと。過去に一般的だった場所やモノに対して、人々は懐かしく思い、好ましいと感じる傾向にある。生まれ育った田舎の風景を思い出したり、昭和期の商品や街並みに思いを馳せたりすることをイメージしてもらうとわかりやすい。この数年、昭和期にヒットしていた商品が復刻版として店頭に並んだり、昭和30年代の下町商店街が再現されたりしている。マーケティング研究や消費者行動研究では、こうした実務面での動きを受けて「ノスタルジア」へ注目が高まっている。若年期に形成された好みの多くは、その後も長期にわたり持続する傾向にあり、年齢の高い消費者は、年を重ねるごとに消費行動に用心深くなるとも言われている。少子高齢化、商品やサービスのコモディティー化が進む今日の日本において、企業は打開策の一つとしてノスタルジアの利用に乗り出しているものと考えられる。