日本では電気事業の自然独占性(一つの企業が市場を独占した方が効率的であるような状態)を根拠に、発送電すべてを手がける電力会社(一般電気事業者)に供給区域内での独占的な電気の供給が認められていた。一方で電力会社は供給区域内での供給義務を負い、費用に一定の利益を上乗せする総括原価主義(事業に必要な費用に適正な事業報酬を加えたものを基準に料金を算定する考え方)に基づく料金規制に服していた。しかし、技術革新などによって発電部門の自然独占性が低下したため、1996年に独立系発電事業者(IPP independent power producer 発電した電力を一般電気事業者に販売する事業を営む、電気事業者以外の者)による発電部門への参入が自由化され、2000年には特定規模電気事業者(新電力)による小売部門への参入が部分的に自由化された。さらに、日本卸電力取引所(JEPX)の設立(03年)、小売自由化範囲の拡大(05年に契約電力50キロワット以上の需要家に拡大)がなされた。そして、12年の電気事業法改正により、小売の全面自由化(16年を目途に実施)や、電気事業者のアンバンドリング(18年から20年を目途に実施)が決定されるなど、電気事業をとりまく環境は大きく変化している。