受発注、原材料調達、在庫管理、配送という川上から川下までを情報技術を駆使し、統合管理する経営手法。生産段階から流通業を経て最終需要者に至る商品・情報・資金の一連の流れであるバリューチェーン(value chain)を抜本的に改革することでコスト削減と顧客満足を同時に実現し、企業の競争力を強化しようとするもの。顧客起点で全体最適化をはかるという意味で、双方向の関係性に重点をおいたマーケティング手法のCRM(customer relationship management)にも通ずる。当初(食品)メーカー主導で進み、その後、小売業や卸売業にまで波及した。アメリカでは1990年代後半に衣料品業界のQR(quick response クイックレスポンス)や加工食品業界のECR(efficient consumer response 効率的消費者対応)の発展形として登場したCPFR(collaborative,planning,forecasting and replenishment 需要予測と在庫補充のための共同作業)が、SCM全体の最適化を実現する手法として注目されている。CPFRに関しては取引標準化を推進する業界団体のVICS(Voluntary Inter-industry Commerce Standard)が合意書策定から販売・発注の2段階予測、予測誤差修正など9段階の流れを定めている。日本の小売業でも大手スーパーの一部やSPAがPOSデータに基づく需要予測を武器に、メーカーや卸を取り込んだSCMを築いた。さらに海外企業との連携を視野に入れたグローバルSCM構築の動きも見られる。