年間売上高2882億ドル(約32兆円)、総店舗数約5300(うち海外1600)、従業員150万人強を擁する(2005年初現在)世界最大の小売業にして最大の民間企業。1962年にアメリカ・アーカンソー州に創業したディスカウントストアがスタート。小都市や農村部への出店、物流情報ネットワークへの積極的な投資、徹底した合理化、圧倒的な低価格での巨大な販売力を武器にした低コスト仕入れなどを特徴とする。70年代にはシアーズ・ローバックやJCペニーなどの総合小売業(GMS general merchandise store ゼネラル・マーチャンダイズ・ストア)を苦境に追い込み、80年代にはディスカウントストアのトップのKマートを追い落とし、90年にはシアーズを抜いて全米トップ小売業になった。90年代以降はトイザらスに代表されるカテゴリーキラー(専門量販店)を凌駕する一方で、食品・非食品を総合的に品揃えした超大型店スーパーセンターを開発。食品スーパーであるネイバーフッドマーケットも含めると食品小売業としてもアメリカ最大規模を誇る。同社のビジネスモデル、EDLP(everyday low price)は、生産から小売りまでを包括的に管理(サプライチェーン・マネジメント SCM)し、物流コストを削減するとともに人件費、店舗運営コストなどあらゆる経費を極力抑制して恒常的な低価格を実現するものである。90年代末からはNB(ナショナル・ブランド メーカーブランド)よりも格段に安いPB(プライベート・ブランド 自社ブランド)開発に力を注ぎ、大手メーカーの脅威になっている。80年代初めに全店舗をPOSレジ化、90年にはアメリカ国防総省に次ぐ規模のデータベース(データウエアハウス)を構築。過去2年間の販売・配送・発注・返品に関するデータや諸々の顧客データが蓄積され、専用の衛星通信回線経由で各店舗からリアルタイムにそのデータを見ることができる。91年のメキシコ進出を皮切りに、94年にカナダ、95年にブラジルとアルゼンチン進出、98年にはドイツのヴェルトカウフを買収、99年にはイギリス第3位のスーパーマーケットのアズダを買収しヨーロッパ市場へ進出。アジアでは96年に合弁で中国に進出、2005年7月現在48店を展開。1998年に韓国進出。2002年に西友に出資し日本に進出、07年中に同社を完全子会社化した。