公設民営とは、行政が土地・施設の設置主体になり、その運営を委託契約により民間事業者に委託することをいう。施設の管理業務においては、民間委託と同義語である。公設民営小売業は、公設方式で市町村などが用意した土地・建物に、地元小売業者が入店することで、小売業者の初期投資負担の軽減化により事業展開を容易にすることを目指している。なお、公設民営小売業の展開は、二類型化できる。第一は、東日本大震災後に岩手県、宮城県、福島県等において、地方自治体が用意した土地・建物に地元小売業者が入店することで、地域住民の帰還促進や地域商業の再生を目指すなど、地域復興促進に貢献すべき手段としての取り組み。第二は、地域住民の要請に対して地方自治体などが主体となり小売業の進出・運営を支援するために、土地・建物を提供する取り組み。これは、地方都市部への大型店舗進出により地域小売業が衰退し、さらに地域小売業の競争激化と高齢化の進展、人口減少が相まって、大型店舗自体が業績悪化を理由に店舗スクラップを進める、という事態が進展していることがある。その結果、「社会インフラ」としての小売店舗数の減少または消滅をもたらし、地域が衰退するとの危機感の高まりを背景に、この取り組みが推進されている。日本では、全国的に少子化により人口減少が進む中で高齢化社会になってきており、これら取り組みは地方限定ではなく、全国的に波及する可能性が高まっている。