政治とは対立を調整する技術である。すべての対立が、政治による調整を必要とするわけではない。たとえば、高く売りたいという売り手の利益と、安く買いたいという買い手の利益とは明らかに対立しているが、その対立は市場によって調整されるのが普通である。しかし、市場で弱い立場に立たされている人々、たとえば農家や身体障害者などの保護が叫ばれたりすると、そこでの対立は政治的に解決しなければならない。政治の手段は権力である。しかし、人々が権力を恐れて服従するだけでなく、服従することが正しいと考えて進んで服従し、権力者を支持するという側面が政治には不可欠である。この側面を権威、正統性などとよぶ。社会が進むにつれ政治の機能は経済、文化等々の他の機能と分かれ、経済制度やその他の文化制度とは別に政治制度が独立の制度として成立する。