国家における政府の形態。アリストテレスが支配者の数によって政体を分類し、一人が支配する君主制、少数者が支配する貴族制、多数者が支配する民主制と分類したのは有名である。単に分類するだけでなくこの三者間の移行、循環も古代ギリシャで広く論じられており、歴史家ポリビウスの政体循環論(regular cycle of constitutional revolution)もよく知られている。それによると有能な人物が君主に選任されて君主制となるが、君主が世襲化するとともに専制に転化する。専制は革命によって倒され有能な少数者の貴族制に代わるが、それも寡頭制に堕落して民主制が樹立される。民主制は貧者が権力をほしいままにして衆愚制に陥り、この無秩序に対処するために再び君主制に返る。古代政治学の政体論はルネサンス期にもほとんど無視されていたが、その末期に見直され近代政治学の発想の一つの源泉となった。