多数者の意向をもって全体の意思と推定する意思決定の制度。問題の重要性によって単純多数、過半数、3分の2以上の多数、などの軽重をつけるのが普通である。多数決原理においては、集団の意思決定が全員一致に至らなかった時、少数者もまた多数者の意思を全体の意思としてそれに同意することが重要である。多数決の結果、もし少数者がその集団を離脱したり追放、排除されたりすれば、その決定は全員一致の決定となるが、それはいわゆる「多数者の専制」を生むことになる。それぞれの意思は同等の意義をもつという前提に立って、少数者にできる限り発言の機会を与え、少数意見は結果的に否定されたとしても意思決定の内部にその観点を組み込むことによって多数決は重みを加え、もしそれが誤っていた場合でも敏速な対応が期待できることになる。結局のところ多数決原理とは少数者尊重の原理である。しかし、科学や思想や宗教、美的な趣向など、多数決にはふさわしくない問題も多い。