世襲の一人によって支配される政体。世襲制が最も古くかつ神聖な権力継承の原理だったために、君主制は貴族制と並んで古い政体であった。古代のエジプトや中国に出現した東洋的専制君主は例外として、君主は通常貴族に取り囲まれ「同輩者中の第一人者」の地位にあるが、ある時は貴族を圧倒して中央集権的な帝国を樹立し、またある時は分権状態に返るという循環を繰り返した。このような循環を破って君主権力の絶対主権を主張したのが、封建社会から近代社会への過渡期に出現した絶対君主であった。絶対君主制は市民革命で打倒されて共和制に移行したが、その後も君主制の復活が試みられた。君主権力の一部を制限した政体を制限君主制とよぶが、特に憲法の規定によって権力を制限された場合は立憲君主制(constitutional monarchy)とよぶ。君主制は20世紀に入って減少の一途をたどり、現在では日本の象徴天皇制のほかイギリス、オランダ、スウェーデン、サウジアラビア、モロッコ、ブルネイなどで存続している。