二つの大政党が政界の主導権を握りほぼ定期的に交代して政権を担当する政党制。一党制、多党制と対比される。一党制の下では、政権を担当する政党と国家が癒着し、政党に対する批判は国家に対する批判として抑圧され独裁政治となりやすい。多党制では、国民の多様な利益はどれかの政党に反映されるが、多様な利益を結合する点では弱く、政府は連立政権となって責任の所在があいまいになり、果断な政策を採りにくくなる。それに対して二党制は国民的利益の反映は二つの党に局限されるが、統治の効率が高くなるといわれている。半面、一つの党が政権に就いてあげた成果が、他の党と交代した時に逆転させられるという敵対的政治(アドバーサリアル・ポリティックス adversarial politics)の問題点も指摘されている。二大政党制は小選挙区制、多党制は中・大選挙区制あるいは比例代表制と深く関連していることも指摘されている。アメリカ、イギリスでは19世紀半ば以降二大政党制が続いている。アメリカでは民主党、共和党の二党が大統領、連邦議会議員、州知事のほぼすべてを独占しており、イギリスでは19世紀から20世紀にかけては保守党と自由党の、それ以後は保守党と労働党の二党制であるが、最近では自由民主党と地方政党が第三党として無視できない存在になっている。