特定の利益を守り増進させるために社会や政府に働きかける団体。政治献金や動員できる票に物をいわせて圧力をかけることから圧力団体ともよばれる。政党が多様な利益を総合して政権獲得を目指すのに対して、利益団体はそれ自身の特定の利害にだけ関心をもっている。20世紀の西欧や戦後のわが国では、政府と社会の中間に無数の「集団の噴出」現象が見られた。それは、一面では政党の統治能力の低下の表れでもあったが、他面このような利益集団を政治過程に積極的に取り込んでいこうとするのが利益政治である。わが国の例でいえば、経団連などの経営者団体、連合などの労働団体、農協、日本医師会などが主要な利益団体。かつて労働団体が社会党、民社党に、そのほかの団体は自民党と密接に提携していたことはよく知られているが、このような利益団体と特定の政党との提携関係は、一つには戦後の日本に政党間の政権交代がなかったことに由来している。大統領制の下では立法権が議会だけにあるため、利益団体が議員に働きかけるロビー活動が重要な政治過程の一部となる。議院内閣制では立法は事実上、政府と各省庁で行われるため、利益団体はもっぱら各省庁に働きかける。各省庁が立法に必要な情報を得るのも、このような利益団体との協議の場からである。イギリスでは政府と利益団体との間の協議は「憲法上の慣行」、つまり政府にとっての義務、関係団体にとっての権利と考えられている。わが国では農協や建設業と自民党との密着ぶりは有名。最近では圧力団体の国際組織化も進み、国際圧力団体が生まれてきた。