政治をもっぱら人間関係の観点からみる政治観。政治には、誰が選挙で当選するか、誰が大臣や首相になるかという人的な要素が必ず含まれているが、その面にだけ注目する見方である。重要な役職に誰が就くかは、組織の中で生きている現代人にとっては重大な関心事であり、他人事として見れば勝敗の要素があっておもしろく、政治にドラマを与える。この見方からすれば、政治は椅子の争いに局限され、政治家の人的関係に対処する能力や人柄が重要視される。テレビ映りのよさ、親しげな口のきき方など、自分の生身を材料にしたPR能力だけでなく、人の信頼を集める力、時に昨日までの味方をばっさりと斬る決断力、人と人をバランスさせる老獪さ、権力欲と競争心のあるなしなどの組織運営能力も重要である。わが国では、(特に中年以上には)自らの才能を隠し、部下をひき立て、和を尊ぶ姿勢が好まれる。