外国との戦争や内乱などの非常事態に、特に選任された独裁官に通常の法的手続きによらずに支配する権利を与えた古代ローマの統治方法に端を発している。独裁の目的と期間が厳しく限定されており、それが定められていない独裁は専制とされた。専制がもっぱら被支配者の消極的、受動的服従を求めるのに対して、現代の全体主義的独裁は何らかの目的に向かって被支配者を不断に動員しようとする。独裁という訳語は一人の独裁者を想像させるし、現実に独裁権力が一人(古代ローマのシーザー、スターリン)に集中することも多いが、政党(フランス革命のジャコバン党、ナチス)、さらには階級(労働者階級のプロレタリアート独裁)が独裁権力を行使している状態を指して用いられることもある。