政治的代表者がかなり広い自由裁量の余地をもつことに伴って生じる特殊な責任の形態。代理人や官僚については権限が委任命令や規則によって定められており、それに対応して責任が生じるが、政治家については選挙における落選以外には制裁の手段がなく、しかも通常いくつかの免責特権を有している。政治責任は主として政治家といういわば同業者の間の職業倫理として具体的な歴史的条件の中で生まれた観念であり、たとえばイギリス議会では議会で虚偽の発言をした議員は辞任しなければならないという不文律がある。責任を問われた政治家は、通常は辞任することで責任を果たす。一般に法的責任と区別して道義的責任という言葉が用いられるが、それは個々の政治家の道徳的心情の問題ではなく、目的による手段の正当化、ないしは心情による結果の正当化を禁じられているという趣旨の問題である。