欲望の充足に対する障害を排除し、人間は本来自由であるという観念を中心にして構成された思想と運動。ルネサンス期における個人の自立性の自覚、宗教改革期の信仰の自由、市民革命および産業革命における思想的、政治的、経済的自由の観念を歴史の進展をともに取り込み、さらにはそれらの自由を実現するための政策体系にまで発展した。「人は生まれながらにして自由で平等である」という自然権の理論は、ルソーの「社会契約論」を通じて社会と国家に関する理論をもたらし、労働と所有の不可侵性は経済における自由放任の理論に発展した。個人の自由を最大限に確保し、このような自由な個々人による社会的自治を実現するという構想は、半面、権力を必要悪とみる消極的な政治観を生んだ。これらの自由は多くの近代憲法において自由権として承認されている。自由主義はもともと資本主義の個人主義的な生活原理と関連して発展したことから、19世紀以降の集団主義と対決することになり、民主主義と結合して20世紀の社会に対応していくようになる。