政治決定は、もともと少人数で非公式かつ秘密裏に行われることが多い。現代外交の基本を打ち出したルネサンス期イタリアでは閨房政治が重要視された。日本語の内閣も、国王の控えの間の「小さな部屋」を意味するキャビネットという英語の単語に由来している。民主主義の拡大に伴って政治決定を公開の場で行い、かつ決定の理由を公表することが規範化される。その場合でも実質的な決定は密室(閉ざされた部屋)で行われるのが普通であるが、公開の決定と説明に習熟していない政治家の行動が反民主的な密室政治として非難される。近代日本には待合政治という慣行があったが、1960年代半ば、多党化現象とともに政党間の影の取引を指して、密室政治という言葉が定着した。