行政上の行為が人・物・自然などに損害や被害を与え、それが一定の法的・社会的準則に照らして許されない場合、その行為に対して責任を問われることをいう。また行政の責任領域というように、行政が責任をもって解決すべき課題を表す場合もある。行政責任の成立には行政担当者が職務上とった行為やとらなかった行為が、ある事態の発生の原因となったことが確認されねばならない。これを因果責任といい、そこでは職務上期待される因果の予見能力が前提となっている。
行政責任では、担当者が個人として問責されることはまれで、更迭などの内部処置はあっても、対外的には職位が問責される。損害賠償という形で行政庁が責任を負うのはその代表例。なお、わが国で行政責任が問題になる場合、責任追及とそれへの応答が情緒化する現象がみられる。問責者の追及は普通まず謝罪要求の形をとり、行政側は誠心誠意遺憾の気持ちを具体的な態度(深々と頭を下げて謝る、など)で表すことが求められる。誠意ある人間らしい態度が、法的な責任処理の円滑な進展の条件となるわけである。最近は広く行政機関の諸活動に関する説明責務(アカウンタビリティー)が行政責任に組み込まれつつある。