国民は、行政不服審査法に基づき、行政庁の違法または不当の処分や不作為、そのほか公権力の行使に関して不服申立てができる。不服申立てには、処分をした行政庁または不作為に係る行政庁に対して行う異議申立てと、それ以外の行政庁に対して行う審査請求とがある。例えば、納税申告書に不服のときには、税務署長や国税局長には異議申立てが、国税不服審判所長には審査請求ができる。審査請求の裁決を経た後にさらに不服申立てを行うことを再審査請求という。異議申立ては、処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に行わなければ請求権を失う。なお、2008年、不服申立ての手続きを原則審査請求に一本化することや、審理員による審査請求の手続き、行政不服審査会等による諮問手続きの設置、審査請求期間の3カ月への延長などを内容とする行政不服審査法の全部改正法案が国会に提出されたが、2度の継続審査とされた後、09年7月、衆議院解散による審議未了で廃案となった。
総務省は、50年ぶりの実質的な法改正に向け、国民の救済手段の充実・拡大、公正性の向上、制度の使いやすさの向上などの視点からの見直し方針の案について、13年5月に国民からの意見募集を行い、14年の通常国会に改正法案の提出を目指すとしている。