府省には、課長職以上の管理職の席に「既決」「未決」とそれぞれ書かれた小箱が置いてある。管理職は、決裁文書、伺い文書、閲覧文書と呼ばれる「未決」の文書に押印し「既決」の箱へ入れる。「既決」の文書の中で、そこ止まりで終結する場合には、その事案に関してはその管理職が専決権者であることを示している。そうでなければより上位の決裁権者に送られる。さらに官房長、次官を経て、大臣の押印を求めて進達される場合も少なくない。また必ず大臣官房の会計課とか人事課との回議・協議が義務づけられている事案も多い。公式的にいえば府省内の意思決定権は大臣に専属している。しかし、この公式決裁権者が決裁しなければならない案件は膨大な数にのぼり、またその重要性にも軽重があり、すべての事案を大臣の決裁事項とするのは実際的でない。そこで、一定の規定(文書管理・取り扱い・処理規定や文書決裁規則)を設けて大臣の決定権限を下位に委任し、そこ止まりで決裁を下すことができる権限を付与している。これが専決の制度であり、この専決権者が不在のときあらかじめ指定された職員が事案に決裁を下す行為が代決である。このようにどこの府省でも事案決定の区分と細目を定め、特定の管理職位に専決権を与えている。なお、近年は電子決裁が進められている。