日本年金機構法(2007年)に基づき、10年1月に設立した非公務員型の公法人(特殊法人)。同時に社会保険庁は廃止された。設立趣旨は、公的年金制度は、全国民の強制加入を前提に、世代間扶養と所得再分配を行う仕組みであり、安定的な運営のためには、国民の信頼に応えることができる事業運営体制が不可欠であるから。新たな公法人では、能力と実績に基づく職員人事の徹底、民間企業へのアウトソーシングの推進等により、サービスの向上及び効率的かつ効果的な業務遂行の実現を図る。組織は、厚生労働大臣が任命する理事長(紀陸孝)の下、本部・地方ブロック(9カ所)・年金事務所(312カ所)、職員数は1万7830人(うち有期雇用職員6950人)。業務内容は、国(厚生労働大臣)から委任・委託を受け、公的年金に係る適用・徴収・記録管理・相談・裁定・給付などの一連の運営業務。国(厚生労働大臣)は公的年金に係る財政責任・管理運営責任を担う。年金記録問題で政府・自民党への追及の先鋒に立っていた長妻昭議員は、日本年金機構に移行すると年金記録問題がうやむやになる可能性があるとし、日本年金機構を凍結し、公務員型の「歳入庁」の設置を主張していた。しかし、鳩山由紀夫内閣の長妻昭厚生労働大臣は、09年9月29日、民間からの内定者(1078人)がいることや、不動産契約なども進んでいることから、これを凍結すれば混乱が生じるとし、日本年金機構を予定通り10年1月に発足させた。将来的には「歳入庁」へ移行させたいとしている。ただし、「歳入庁」にすれば、年金問題で不祥事を起こした850人の社会保険庁職員の分限処分の決定を撤回する、という問題が起こる。