国家公務員の能力・実績主義の人事管理の徹底と、再就職に関する規制の導入を内容とする改正が2007年6月に成立。概要は以下の通り。
1.能力・実績主義
(1)人事管理の原則
職員の任用、給与その他の人事管理について、職員の採用試験の種類や年次にとらわれてはならないこと、人事評価に基づいて適切に行うこと、といった基本則を明らかにする。
(2)能力本位の任用制度の確立
イ 昇任、転任等
職員の昇任および転任は、職員の人事評価またはその他の能力実証によるものとする。また、職制上の段階の標準的な官職と、その官職に必要な標準職務を明らかにし、標準職務遂行能力および適性を、昇任または転任の判断基準とする。
ロ 採用昇任等基本方針
職員の採用、昇任、降任および転任に関する制度の適切かつ効果的な運用をするための基本的な方針を策定する。
(3)新たな人事評価制度の構築
イ 現行の勤務成績の評定に代え、新たな人事評価制度を構築する。
ロ 職員の人事評価を「任用、給与、分限その他の人事管理の基礎とするために、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力および挙げた業績を把握し行われる勤務成績の評価」と定義し、公正に行わなければならないこととする。
ハ 職員の執務について、その所轄庁の長は、定期的に人事評価を実施する。
(4)分限処分
分限事由の一つである「勤務実績がよくない場合」を「人事評価または勤務の状況に照らして、勤務実績がよくない場合」に改め、分限事由をより明確化。
2.再就職に関する規制の改正等
(1)再就職あっせんの規制および官民人材交流センターの設置
各府省等職員が職員または職員であった者について、営利企業および非営利法人(以下、「営利企業等」という)に対し再就職あっせんを行うことを禁止し、内閣府に設置する官民人材交流センター(以下、「センター」)に一元化する。センターは、職員の離職に際しての離職後の就職および官民の人材交流の円滑な実施のための支援を行う。センターは08年中に設置し、一元化実施はセンター設置後3年以内とする(一元化までの移行期間中は、再就職等監視委員会等の承認を受けた場合に限り、各府省等職員による再就職あっせんを可とする)。センターについては、設置後5年を経過した場合、その体制を見直し、必要な措置を講ずる。
(2)現職職員の求職活動規制
現職職員が自らの職務と利害関係を有する一定の営利企業等に対し、求職を行うことを規制する(現役出向の場合、一定の官職以下の職員の再就職の場合、センターから紹介された場合、再就委員会等の承認を受けた場合には、現職職員による当該営利企業等への求職活動を可とする)。
(3)退職職員の働きかけ規制
離職後に営利企業等の地位に就いている退職職員が、離職後2年間、一定機関の現職職員に、当該営利企業等またはその子法人が関係する契約または処分があって、離職前5年間(課長レベル以上ではそのポストに就いていた間)に担当した職務(局長級以上については在職していた府省の所掌)に属するものなどに関して働きかけを行うことを規制する。離職後に営利企業等の地位に就いている退職職員が、一定の国の機関の現職職員に、在職中に自らが決定した契約または処分があって、当該営利企業等が関係するものに関して働きかけを行うことを期限の定めなく規制する。
(4)働きかけを受けた現職職員の規制
退職職員から上記に規定する働きかけを受けた現職職員に対し、再就職等観察官への届け出を義務付ける。
(5)上記(1)~(4)において、違反行為に対しては懲戒、過料を科し、不正な行為等に対しては刑罰を科す。
(6)再就職情報の内閣での一元管理
管理職職員であった者が、営利企業等の地位に就く場合などには、離職後2年間、内閣総理大臣に一定の事項を届け出なければならないものとする。
(7)事前承認制度の暫定的存続と廃止
離職後2年間に内閣による事前承認制度を暫定的に設け、一元化時点で同制度は廃止する。
(8)監視体制の整備
再就職等監視委員会を内閣府に設置し、再就職に関する規制の適用除外の承認、任命権者への勧告などを実施する。同委員会には再就職等監察官をおき、各府省などにおける再就職に関する規制違反の調査等を実施する。
なお、特定独立行政法人の役員についても、再就職に関する規制の規定を準用する。