内閣府の外局として新設された消費者行政を一元的に所管する行政機関。2008年1月18日に、福田康夫総理(当時)が施政方針演説で、「消費者行政を統一的、一元的に推進するための、強い権限を持つ新組織」の構想を打ち出し、同年2月8日の閣議決定で「消費者行政推進会議」が設置され、消費者庁の名称や組織の内容などが検討されることとなった。会議は6月13日に、最終報告書の「消費者行政推進会議取りまとめ~消費者・生活者の視点に立つ行政への転換~」を提出した。これを受けて、政府は6月27日に「消費者行政推進基本計画」を閣議決定。同年9月29日、福田内閣のあとの麻生太郎内閣は、第170回国会(臨時会)に法案を提出。09年5月29日、消費者庁法案可決、新しい消費者行政体制が9月1日発足。内閣総理大臣の下、内閣府特命担当大臣(消費者)、総合調整を担う消費者基本政策室が置かれ、消費者庁と消費者委員会が配されている。消費者庁は、独立行政法人の国民生活センターと消費生活センター(自治体)と密接に関係している。内閣本府に設置の消費者委員会は、独立して職権を行い、重要事項についての建議、内閣総理大臣への勧告・報告要求、関係行政機関への資料要求ができる。消費者庁は、情報の一元的な集約・調査・分析、消費者行政の司令塔として各省庁への勧告・措置要求・すき間事案への対応、消費者に身近な諸法律の所管等を任務とし、組織は、特命担当大臣・副大臣・政務官の下に、消費者庁長官、次長、2人の審議官、2人の参事官の下、8課体制、09年度職員定員は202人。消費者庁と消費者委員会の新設によって、経済産業省、農林水産省など、産業を育成してきた官庁が個別に担ってきた消費者行政が、業界寄りから消費者利益優先へと転換する可能性が高まった。