防衛省・自衛隊の中枢組織である幕僚監部(制服組)のトップ。もともと「幕」は野営の軍隊の陣を表し、将軍の指揮所が「幕府」で、そこに詰めて将軍を補佐するスタッフが「幕僚」。幕僚監部は陸上・海上・航空の各自衛隊にあるほか、三つの隊を束ねる統合幕僚監部(統幕)もある。文民統制により、自衛隊の最高指揮者は首相で、補佐役である幕僚に指揮権はない。幕僚長は、あくまでも防衛大臣への専門的助言者であり、首相・防衛大臣の命令内容を各部隊へ指示するのが役割。しかし、幕僚長は制服組の人事を事実上握っている。田母神前航空幕僚長は、民間機関の懸賞論文で「我が国は日中戦争に引きずり込まれた被害者」「日本が侵略国家というのは濡れ衣(ねれぎぬ)」などと政府見解と異なる歴史認識を公にし、物議をかもし、防衛大臣の辞任要請を拒んで定年退職をした。