2009年9月16日に鳩山連立政権が発足したが、その初閣議後の閣僚懇談会で定められた、「政」と「官」の適正な役割分担と協力関係を目指して内閣が取り組む、とした方針。その基本認識は、(1)「政」は、行政が公正かつ中立的に行われるよう国民を代表する立法権者として監視責任を果たすとともに、議院内閣制の下で、国務大臣、副大臣、大臣政務官等(以下「大臣等」という)として政府の中に入り、責任をもって行政の政策の立案・調整・決定を担うとともに、「官」を指揮監督し、「官」は、国民全体の奉仕者として政治的中立性を重んじながら、専門性を踏まえて、法令に基づき、主に政策の実施、個別の行政執行にあたる、(2)政策の立案・調整・決定は、「政」が責任をもって行い、「官」は、職務遂行上把握した国民のニーズを踏まえ、「政」に対し、政策の基礎データや情報の提供、複数の選択肢の提示等、政策の立案・調整・決定を補佐する、(3)「政」と「官」は、それぞれの役割分担に基づき一体として国家国民のために職務を遂行する、(4)「政」と「官」は、それぞれが担っている役割を尊重し、信頼を基本とする関係の構築に常に努める必要がある、というもの。
対応方針としては、政府の政策決定における内閣主導を徹底する観点に立って、(1)国家公務員制度改革基本法に基づき、「官」が「政」と接触した場合における記録の作成、保存その他の管理及びその情報の適切な公開について、別に定めるところにより実施する、(2)法律案の作成等、政策立案の過程において、大臣等以外の「政」から「官」への具体的な要請、働きかけがあった場合は、大臣等へ報告する。「官」から大臣等以外の「政」への働きかけは原則として行わないものとするが、大臣等の指揮監督下にあって、その示した方針に沿って行う場合は、この限りでない、(3)「官」は、大臣等に報告すべき情報を秘匿し偏った情報提供を行うことのないよう、報告責任を全うし、国家公務員法の精神に則り、国民全体の奉仕者として、「基本認識」で明らかにした「官」の役割を誠実に果たすものとする、(4)府省の見解を表明する記者会見は、大臣等の「政」が行い、事務次官等の定例記者会見は行わない。ただし、専門性その他の状況に応じ、大臣等が適切と判断した場合は、「官」が行うことがある、(5)各府省幹部は、政・官関係の不適切な問題が生じないよう、部下を指導監督する。また、必要に応じて、大臣等と解決に向けた協議を行う。一府省の問題といえども問題の性質によっては、内閣として対応するというもの。政治主導・脱官僚依存を掲げる新政権の意気込みを印象づけた。