「構想日本」(代表は元大蔵官僚の加藤秀樹で1997年4月設立の独立・非営利政策シンクタンク)が開発し、2002年から自治体で開始した、事業の必要性自体を見直す手法。国では、06年7月の「骨太の方針2006」で事業仕分けの実施が明記され、07年11月の「経済財政諮問会議」で国の事業仕分けについて本格議論が始まり、08年8月、自民党「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」の河野太郎チームが「構想日本」の協力を得て、国レベルで初めて、文部科学省の「政策棚卸し」(事業仕分け)作業を、自民党議員と外部有識者(校長や市長経験者、自治体職員など)が仕分け人になり、一般公開で「事業のそもそもの必要性」を問う形で行った。09年9月16日発足した鳩山連立内閣の下で、10年の予算編成に関し、シーリング撤廃の中で膨れ上がった概算要求額を抑えるために、行政刷新会議が、事業仕分けの手法を予算の無駄の洗い出しに応用。第1弾は11月11~17日、第2弾は11月24~27日に、計9日間、447事業に関し、仕分け人(枝野幸男ら民主党議員と民間有識者)が3つのワーキンググループに分かれて国立印刷局市ケ谷センター体育館で、説明者(関係府省の局長・審議官ら)を相手に短時間のやり取りを行い、「廃止・削減・見直し」などを判定する仕分けが行われた。このやり取りは、新内閣の「予算編成・執行のプロセスの抜本的な透明化・可視化」の方針に従って全面公開され、会場には多くの一般傍聴者が詰めかけた。議事・審議ポイントは予算当局(財務省主計局)と仕分けのまとめ役の政治家が設定、選挙公約とわかりやすさを優先する仕分け劇が目立ち、新政権による予算編成過程の変更を強く印象づけようとした。事業仕分けの結果は、廃止事業1300億円、予算計上見送り1600億円、削減4500億円、基金の国庫返納8400億円など計1.6兆円になったが、10年度予算に反映した削減額は6770億円(後に約1兆円程度)にとどまった。第3弾は、特別会計を対象に10年10月27~30日、再仕分けを対象に11月15~18日に行われた。再仕分けは、第1弾、第2弾で「廃止」「見直し」「縮減」などと判定されたものが実際の予算編成に反映したのかどうかをチェックし、「看板の付け替え」「焼け太り」「勝手に先延ばし」などが明らかになった。民主党の編成した予算をめぐって、仕分け人と仕分けされる側の関係府省の政務三役とが対峙(たいじ)することにもなった。