障害者団体向け割引郵便制度悪用事件で逮捕・起訴していた厚生官僚が無罪となり、逆に、2010年9月、大阪地検特捜部の主任検事がデータ改ざんの容疑で、その上司だった前特捜部長と前副部長も犯人隠避の疑いで逮捕された。エリート検事に一大不祥事が起きた。検察官は建前上一人ひとりが独任制の官庁として、単独で公訴を提起し公判を維持する権限を有する。身分証票ではなく、旭日に菊の花弁と葉をあしらった「検察官徽章」が使われ、これは別名「秋霜烈日章」と呼ばれ、厳しい自己規律が求められている。特捜部(特別捜査部)は検察庁の一部門で、東京・大阪・名古屋の各地方検察庁に設置され、政治家汚職、大型脱税、経済事件など集中的に捜査を行う必要がある案件に取り組む機関とされる。検察庁法に基づく官名としては検事総長、次長検事、検事長、検事、副検事があり、「検事」はその身分を指している。旧大日本帝国憲法下の官吏区分呼称であった勅任官・奏任官・判任官の名残で、検察庁の官吏には一級・二級・三級の区別が今でもある。しかも、最高検察庁の検事総長1人、次長検事1人、各高等検察庁の検事長8人は認証官であり、内閣によって任免され天皇から認証される。特捜部の捜査と取り調べのあり方に関する改革問題が浮上した。