経済産業省から原子力安全・保安院を分離し、内閣府原子力安全委員会や文部科学省の環境モニタリング機能などを統合し、環境省の外局として2012年9月19日に発足した新たな原子力規制行政機関。原子力規制庁の初代長官には池田克彦前警視総監が起用された。科学的知見に基づいて公正に判断を行えるよう独立性の高い組織とし、新設の原子力規制委員会が規制の独立性を監視する。原子力に関する規制と利用を明確に分け、安全にかかわる業務の一元化と緊急事態への対応を強化することが大きなねらい。委員会事務局には、特別の職として緊急事態対策監1人、審議官3人および原子力地域安全総括官1人が置かれ、総務課、政策評価・広聴広報課、国際課、技術基盤課、原子力防災課、監視情報課、安全規制管理官5人の組織体制となっている。12年4月1日に発足予定であったが、9月にずれ込んだ。また、当初の「原子力安全調査委員会」は「原子力規制委員会」に改称、国家行政組織法3条に基づく「3条委員会」として内閣からの独立性を高めた。委員長ほか4人の委員で構成されるが、その人事には国会の同意が必要。ただし、緊急の事情がある場合は首相が国会の同意なしに任命できる例外規定がある。緊急の事情がなくなれば、国会の事後承認が必要となる。野田佳彦首相(当時)は、田中俊一(前内閣府原子力委員長代理)を委員長に、中村佳代子、更田豊志、大島賢三、島崎邦彦の4委員の人事について、民主党内の造反を警戒して国会の同意手続きをとらず、例外規定を使い首相権限で任命していた。活動を開始した原子力規制委員会の専門家会合は、原発周辺の活断層の存在を指摘し、再稼働に慎重な姿勢を見せている。復帰した自民党の安倍晋三政権は、この5人の人選を認める方向で衆参両院の同意を求めることとしている。