正式には「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(2007年6月15日成立)。この法律で、自治体は07年度決算から毎年度、四つの「財政健全化判断比率」指標を公表することが義務づけられた。その四つの指標とは、(1)実質赤字比率(従来の財政再建団体入りの基準となっている)、(2)連結実質赤字比率(新:全会計の実質赤字等の標準財政規模に対する比率)、(3)実質公債費比率(一般会計と公営企業などの連結公債費負担比率で、すでに06年度から作成され公表されている)、(4)将来負担比率(新:公営企業、出資法人、第三セクター、将来の退職手当等を含めた普通会計の実質的負債の標準財政規模に対する比率)である。現在はこれらの指標に基づいて「財政健全化」「財政再生」(財政再建)が行われることになっている。
まず、この四つの指標のうち一つでも別に政令(同法の施行令)および省令で定める「早期健全化基準」以上に該当する場合、自治体は自ら「財政健全化計画」を定め、議会の議決を得なければならない。いわゆる「イエローカード」=早期是正措置である。さらに悪化が進んで、(1)から(3)までの指標のどれかが、同じく政令等で定める「再生判断基準」以上の場合、すなわち「レッドカード」が出た場合は、総務大臣との協議と同意のもとに、議会の議決を経て「財政再生計画」を定めなければならない。すなわち、「実質赤字比率」「連結実質赤字比率」「実質公債費比率」のいずれかが「財政再生基準」を超える場合である。これが今までの「財政再建計画」にあたる。07年12月28日施行の地方財政法施行令によって上記の基準は以下のとおりとされた。
「早期健全化基準」は、まず「実質赤字比率」では市町村が標準財政規模に応じて11.25%から15%、都道府県が3.75%。「連結実質赤字比率」では市町村は16.25%から20%。都道府県は8.75%。「実質公債費比率」での「早期健全化基準」は市町村および都道府県とも25%、「将来負担比率」は市町村が350%、都道府県が400%で「早期健全化基準」としてのみ活用する。「財政再生基準」は、「実質赤字比率」では現行と同じ、都道府県5%、市町村20%。「連結実質赤字比率」での「財政再生基準」は、都道府県が15%、市町村が30%。「実質公債費比率」の「財政再生基準」は、市町村が35%、都道府県も35%としている。公営企業の場合は、「資金不足比率」20%を「早期健全化基準」とし、再生基準は定めなかった。
財政破綻を防ぐには、次のような取り組みが求められる。(1)財政健全化判断比率指標および経常収支比率などを適正な水準に維持するとともに、公共サービスの品質を向上させるよう行財政改革を進める、(2)財政状況の積極的公開と説明責任を果たす、(3)本格的に計画行政を進める、(4)予算編成過程の公開と市民参加の推進。要するに、自治体の財政を市民にオープンにし、市民のコントロールがきくようにすることである。そのためには、これらの情報を分析し、評価する市民の力もまた必要とされている。