自治体が、公共工事の入札や事業委託先を選択する際、価格だけを評価して決定するのではなく、その事業に働く労働者の賃金を適正に確保させる制度。公共事業や委託契約で「低価格」落札を目指すあまり、人件費を無視したダンピング受注やピンハネが横行し、最低賃金法違反や賃金不払いまで常態化している実態に対して、労働者の生活と地域経済を破壊するコストダウン競争に歯止めをかける目的で制定が試みられている。アメリカのリビング・ウエッジ(生活保障賃金)運動と同様の狙いがある。価格以外の要素(公正労働基準、環境への配慮、障害者の法定雇用率、男女平等参画など)も含めて総合的に評価して発注する「総合評価入札制度」の一部を構成する。日本では、2009年に野田市が最初に条例化し、その後、10年には政令市で初めて川崎市が制定した。さらに11年には多摩市、相模原市、12年には国分寺市で制定され、足立区、直方市の条例が14年4月に施行される。