本来、議会の議決・決定を経なければならない事柄について、自治体の長が地方自治法の規定に基づいて、議会の議決・決定を経ずに執行すること。大きく分けて、二つの種類がある。一つは、議会の委任による専決処分(180条)であり、もう一つは緊急の場合の専決処分である。緊急の場合とは、(1)議会が成立しないとき、(2)議長または議員が親族の従事する業務に関する議案の除斥などを差し引いても定足数を満たさないとき、(3)長において、議会の議決すべき事件について特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであるとき、(4)議会が議決すべき事件を議決しないとき、である。近年、鹿児島県阿久根市長が、議会を招集せず19回も専決処分を行って、この制度がクローズアップされた。これには副市長の任命にあたり議会の同意を得ることなく専決処分した件も含まれる。この一連の専決処分および議会を招集しないことについて、鹿児島県知事が二度にわたり是正の勧告(地自法245条の6)を行ったが、強制力はなく是正されなかった。なお、専決処分の報告を後日、議会で不承認しても、処分の効果には変更がない。このため、政府は専決処分から副知事・副市町村長の専決処分を禁ずる、議会での承認が得られなかったときに処分の効果を減殺する方策などについて検討を開始した。