自治体財政は厳しい状況にあるが、その厳しさの把握や原因の究明、将来的な見通しをつけるに当たっては現行の会計制度にいくつかの問題点があり、その改革を目指す新たな公会計制度のこと。現行の公会計制度は、歳入歳出予算の実績を明らかにし、財政上の責任を明確にすることを目的として設計されていることから、予算の執行や現金収支の把握に適したものとなっている半面、これまでに資産がどれほど形成されていて、その財源の内訳がどのようになっているのかについてのストック情報が不十分であった。そのため、例えば多額の借金で施設整備を行った場合、単年度の現金の流れだけを見る従来の方法では、自治体の財政状況を正確に把握することができない。その結果、財政が破綻(はたん)するまで事実が表面化しないこともあり得る。そこで、総務省は、これらの問題点を補うために、発生主義の活用および複式簿記の考え方、すなわち企業会計の手法を取り入れ、(1)貸借対照表、(2)行政コスト計算書、(3)純資産変動計算書、(4)資産収支計算書の財務書類4表を整備し、公表することを求めている。