2011年10月に起きた大津市の中学生のいじめによる自殺事件に端を発して、いじめ問題への対処が求められている。自治体ではそれ以前から、いじめ防止条例を制定していじめの防止を図る動きが出ている。たとえば兵庫県小野市では、08年に「小野市いじめ等防止条例」を施行している。この条例は「いじめ等のない明るく住み良い社会を実現する」(1条)ことを目的に、市、市民、学校、社会福祉施設、企業、公的機関、家庭および地域社会の責務並びに役割を明らかにするとともに、その推進体制として、市に相談窓口およびいじめ等防止市民会議の設置を定めている。12年4月から施行されている岐阜県可児市の条例「可児市子どものいじめの防止に関する条例」は、同様に各主体の責務を定めるほか、市長による関係者に対する是正要請を明記している。事件が大きく報道された大津市においても13年2月に「大津市子どものいじめの防止に関する条例」を制定した。また、自由民主党提案の「いじめ防止対策推進法」が成立し13年6月から施行されている。これによると、地方公共団体は、いじめの防止等に関係する機関及び団体の連携を図るため、条例の定めるところにより、学校、教育委員会、児童相談所、法務局又は地方法務局、都道府県警察その他の関係者により構成されるいじめ問題対策連絡協議会を置くことができること、児童らの生命または身体の安全が脅かされているときは、学校は「犯罪行為」として直ちに警察に通報しなければならないとしている。