湧き水や地下水の保全に関する条例は全国に広く見られる。名称は水源の森条例、水道水源保全条例、公害防止条例、水循環条例、地下水採取規制条例などさまざまであるが、2014年9月に栃木県塩谷町が制定した「塩谷町高原山・尚仁沢湧水保全条例」は、指定廃棄物(放射性物質により汚染された廃棄物)の最終処分場候補地が同条例の湧水保全地域に該当することから注目を浴びた。条例は町長が指定する湧水等保全地域内では許可事業者でなければ事業活動を行うことはできず、許可の要件として、(1)町民の健康及び生活環境上の支障をきたすおそれがないこと、(2)水質の確保を阻害するおそれがないこと、(3)湧水の枯渇のおそれがないことのほか、町民との協議を経ていることなどを挙げており、指定廃棄物最終処分事業がこの条例により頓挫することに政府はどう対処するかが注目されている。