2014年6月19日に参議院本会議で成立、施行は16年4月。まず行政機関と事業者に対して、その事業を行うに当たり、障害を理由として不当な「差別的取り扱い」をすることにより障害者の権利利益を侵害してはならないと定める。そして、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合、負担が過重でないときは、社会的障壁を除去するよう「合理的配慮」をしなければならない、と命じている。
背景は、06年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」で、08年に発効している。日本政府は07年9月に同条約に署名し、13年12月の参議院本会議で批准が承認されている。条約の批准に向けて、障害者基本法の改正など国内法の改正等が行われてきたが、その一環がこの「差別解消法」である。
国や地方自治体は差別解消を支援するため、相談や紛争防止の体制を取ることと、啓発活動が義務づけられた。併せて医療や介護、教育に従事する行政機関は、「障害者差別解消支援地域協議会」を設置することができる。13年6月に成立した「障害者雇用促進法改正法」では、事業主の合理的配慮義務は努力義務ではなく法的義務となっている。