長い間、東シナ海には豊富な天然ガスや石油資源が埋蔵されているとの観測がなされてきた。ただし、原則的に沿岸から200カイリの排他的経済水域(EEZ)を認める国連海洋法条約の発効以後も、東シナ海では、日中双方のEEZがオーバーラップしてしまうため、資源開発についてもなかなか方針が定まらない。中国側は、沖縄トラフまでの大陸棚について中国に権利があると主張し、日本側は、日中の「中間線」までは、日本のEEZだと主張してきた。現在の問題は、日本の主張する「中間線」の中国寄りではあるが、きわめて近接した地点(春暁)で、中国がガス田開発に乗り出したところに端を発している。日本側の主張によれば、この地帯でのガス田は大陸棚の中で、つながっている可能性が高く、中間線の日本側の資源も、春暁ガス田での採掘によって吸い上げられてしまう可能性があるというものである。この点につき、日本側は中国側にデータの提供を求めたが、中国側はこれは、あくまでも中間線の中国側の採掘であるからデータを提供する必要はないというものであった。これに対して、日本側では、中間線の日本側における地質調査を行うようになり、2005年の夏には、試掘権を日本企業に与えた。中間線の日本側といえども、中国の主張からすれば、沖縄トラフ以西ということになり、日本企業が実際に試掘すれば日中間の問題となる可能性もある。両国で、共同開発による解決が模索されており、07年4月の温家宝首相の訪日や同年12月の福田首相の訪中でも、双方の努力が合意されているがなかなか進展していない。