2006年10月に訪中した安倍晋三首相と中国の温家宝首相との間で合意した、今後の日中関係のあり方を示す概念。小泉純一郎首相の靖国参拝問題で膠着(こうちゃく)状況に陥っていた日中関係であったが、政権発足直後の安倍首相の訪中によって、関係の正常化が進むようになった。安倍首相は、靖国神社に参拝するともしないとも、あるいは参拝したともしなかったとも明言しないとの方針で、事実上、靖国参拝問題を棚上げにすることによって、中国側の了解をとりつけた上で、06年10月、最初の外国訪問として中国を訪問した。日中首脳会談をうけた日中共同プレス発表は、両国が「共通の戦略的利益に立脚した互恵関係の構築に努力」と宣言した。07年4月の温家宝首相の訪問時には、首脳レベルの交流を密接にし、さまざまな領域で協力関係を深めるなど、この「戦略的互恵関係」の内容が日中共同プレス発表の形で公開された。07年12月の福田康夫首相の訪中では、さらに具体的措置についての合意がなされた。