2009年9月に鳩山由紀夫内閣はアメリカに対して、10年1月に期限を迎える海上自衛隊によるインド洋給油活動を延長せず、アフガニスタン本土の比較的安全な地域に政府職員や民間人を派遣するなどして、民生・復興支援に協力すると伝えた。さらに09年11月には、この問題に関する閣僚委員会が、10年から5年間に最大で50億ドル(約4500億円)を拠出すると決定した。日本はこれまでにも治安改善のために、アフガニスタン全土の警察官の給与半年分を拠出してきたが、さらに、元タリバン兵士の社会復帰のための職業訓練や、農村開発にも協力するとしている。鳩山内閣がこうした巨額の援助を表明した背景には、アフガニスタン問題でアメリカに協力することで、インド洋での海上自衛隊による給油活動を10年1月15日に終了した上で、沖縄の普天間基地移設問題でもアメリカから譲歩がえられるとの期待があったとみられる。しかし、この期待は大きく外れた。また、アフガニスタンのカルザイ政権は正統性に乏しく、汚職がまん延しきわめて非効率である。ここに巨額の援助を提供すれば、汚職を拡大し、場合によっては資金の一部がタリバンやアルカイダに流れる可能性もある。資金提供後の十分な検証作業が求められる。11年6月に、アメリカのオバマ大統領は米軍をアフガニスタンから年内に1万人、12年9月までに3万3000人撤収すると表明した。他方、11年12月にドイツのボンで開催されたアフガニスタン復興支援国際会議で、24年まで国際社会がアフガニスタン政府を支援することを確認した。